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リストラ対処法

7.企業組織再編による大リストラと闘う

(3)会社分割制度が労働者に及ぼす影響について

今年4月1日に施行された改正商法で導入された会社分割制度は、労働契約承継法とセットで理解する必要があります。

独占資本は、企業をより早く手軽に「合理化」するために、成長が見込まれる部門を分社化したり、逆に不採算部門を分社化したりすることで経営リスクを回避しようと考えています。

改正商法では会社分割の手続きは簡略化され、労働契約は分割会社に「包括承継」されるため労働者の同意なしに分割会社にその部門の労働者を移行させることができることになります。つまり、会社分割制度と労働契約承継法は会社分割にともなう労働者の移籍(本来なら本人同意が必要な転籍)をめぐる争いをあらかじめ封じ込めるねらいを持っているのです。

新しく導入された会社分割には「新設分割」と「吸収分割」の2種類があり、

  • 不採算部門を分割し整理する
  • 成長部門を独立させ、残った本体部門を整理する
  • 合併によって重複する業務を分割会社に整理する
  • 中小企業の優良部門を買収し、吸収分割で傘下におさめる

等をねらいとする分割が考えられます。

労働者にとって企業組織の変更によって分割会社へ行くのか、それとも本体会社に残るのかは、すなわち将来人員整理の対象となるのか、それとも成長会社へ入って雇用が保障されるのかは“天と地”ほどの違いがあるのです。しかしこの重大な転籍に労働者の同意を必要なしとしたことが会社分割制度の最大の特徴なのです。

  • 分割される部門にいた労働者は分割計画書に記載されれば転籍しなくてはならず、移籍を拒否すれば「自己退職」になる
  • 二つ以上の部門を掛け持ちしていたが主として分割部門に従事していた人も同様に転籍しなくてはならない
  • 二つ以上の部門を掛け持ちしていて主に分割部門にいなかった人は転籍し
  • 分割部門に所属していなかった人は残留となる

以上のことから労働者が分割される部門に主として従事していたのか、従として従事していたのかを誰が判断するのかが問題になり、さらには分割の直前に配転によって意図的に人員を選別する可能性も存在しているのです。

転籍先の分割会社が経営破綻するかもしれないのに、分割会社に行くのか行かないのかを決定する権利が労働者には認められていないことが最大の問題点なのです。

また分割に伴う事前協議については「株主総会の二週間前までに労働者と協議する」としてるが、ここで言う「労働者」が会社が選出する「労働者代表」なのか、それとも労働組合なのか、少数派労組とも協議するのかは不明な点です。指針では会社と本人、会社と労働組合の二段階の労使協議を義務づけているが、少数派組合は無視される可能性があります。

グループ企業を束ねる持ち株会社を作り、子会社を統廃合するために会社分割制度を導入し、簡単に部門別のリストラをやるのが独占資本のねらいです。新会社が赤字になればリストラや「合理化」がさけられず、しかも持ち株会社にはそれに責任を負わないのです。つまり独禁法「改正」、「会社分割法」「労働契約承継」法は三点セットのグループ企業の強化の大リストラ法と言えるのです。

財界はこの“三点セット”でもまだ不満で、会社分割時の登録免許税や不動産取得税などの優遇税制や連結納税制度の導入を要求しており、持ち株会社を頂点としたグループ経営の再編強化の環境が整うにつれ、持ち株会社の設立・事業本部別の子会社化に手をつける企業が増えています。

グループ経営の再編・強化が新たな大リストラに直結するのはさけられないのです。

バブル崩壊後の需給バランスの回復を日本独占は企業の統廃合(企業の分割・営業譲渡・合併)でやろうとしているのです。この法整備を先行させたリストラには闘い方が難しいことを知っておく必要があります。

また分割で新会社に移った労働者が転籍後の企業年金を受け取れなくなる可能性があることが問題点として出てきています。これが事実であるなら、労働者は不利益な転籍に拒否権を持たないという不合理なことがまかり通ることになります。

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