1. トップ » 
  2. リストラ対処法 » 
  3. 7.企業組織再編による大リストラと闘う » 
  4. (2)産業再生法が労働者に及ぼす影響について

リストラ対処法

7.企業組織再編による大リストラと闘う

(2)産業再生法が労働者に及ぼす影響について

「産業活力再生特別措置法」(以下産業再生法)は企業が生産性の改善目標や「事業再構築計画」を2003年3月末までに所管大臣に提出し認定された場合、分社化や営業譲渡が容易になる商法上の特例や設備廃棄にかかる優遇税制の適用を受けることができる“リストラ推進法”とでも言うべき法律です。

通産省が示した具体的な認定基準によれば、自己資本当期純利益率が2%以上上昇すること、従業員一人あたりの付加価値額が6%以上上昇することなどが目安となっています。企業が同計画に記載しなければならない内容は、事業再構築の目標や内容、実施の時期、それに伴う労務に関する事項(雇用削減目標など)などとなっています。

この事業再構築計画が大臣に認定されれば、その企業は政府の支援の下で工場閉鎖や合併・営業譲渡・設備廃棄などで雇用を大規模に削減することができるのです。

この産業再生法は、法の目的に「雇用の安定等に配慮しつつ」との文言を形式的に盛り込み、計画認定基準の一つに「計画が従業員の地位を“不当”に害するものでないこと」としているので、労働組合が交渉の時の人員削減に反対する根拠とはできるが、しかし同法は「不当」の意味が明確でないのです。同法はまた事業再構築計画の実施に当たっては、「雇用する労働者の理解と協力を得る」(第18条)、「失業の予防その他雇用の安定を図るため必要な措置を講ずるよう務めなければならない」としているが、それは努力義務にすぎず、雇用の安定は何ら保障されていないのです。むしろ大規模な人員削減が企業のねらいと見られるので、産業再生法によって安易な人減らしによる生産性向上と利益率上昇が追求される可能性は高いと見られています。産業再生法が判例法理として確立されている整理解雇の4要件にどのような影響を与えるのかが明確でないのです。むしろ4要件を満たすことが難しいから、産業再生法の認定基準の「不当」の意味を曖昧なままにして安易な解雇の突破口にしようとしていると見えるのです。

実際に弁護士や労働組合関係者の中から整理解雇の4要件が軽視されることを心配する声が挙がっていることが新聞で報じられています。

また分社化を盛り込んだ事業再構築計画が認定された会社が新会社を設立し、その会社で働いていた労働者の何人かが新会社に移る場合、労働条件は元の会社の水準が維持される保障がないことも問題で、労働条件を切り下げて利益率アップをねらう分社化が進められる可能性があります。つまり、産業再生法に基づく企業組織の再編には、労働者の地位(雇用)と権利(労働条件)を保障する項目が欠落していることに注目する必要があります。こうしたことから「労働者保護法」の制定を求める動きが労働団体から出ています。

これに対し経団連など経営者団体は「再生の活力をそぐ」として労働者保護法に反対しています。つまり、企業組織変更による企業の再生とは労働者の首切りと賃下げで企業の利益率を上昇させることを最大のねらいとしていることは明らかです。産業再生法とは労働者を犠牲にする野蛮な資本主義化への法律なのです。

小泉内閣が日本経済の構造改革によって2〜3年間痛みに耐えて我慢することを国民に要求していますが、その中身は労働者にとっては首切りと賃下げと労働強化であり、中小商店や中小企業にとっては倒産であり、農民にとっては農業破壊であり、国民にとっては福祉の切り捨てと大増税と高負担であるのです。

小泉の不良債権の処理とは、バブル時代の投機のツケを国民に払わせることであり、中小企業のなぎ倒しであり、大量失業を生じることなのです。

産業再生法が自民党や独占資本の言う「構造改革」の一環であることは明らかです。

>>次のページ:(3)会社分割制度が労働者に及ぼす影響について

<<戻る 次へ>>

▲ページトップ